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土地の購入に住宅ローンは利用できる?土地購入の流れと諸経費について

土地の購入に住宅ローンは利用できる?土地購入の流れと諸経費について

一般的には住宅ローンを使う場合、「土地と建物の両方を購入する」または「建物部分のみを購入する」ことになります。他方で、土地のみの購入に対して、住宅ローンを借り入れたいと考える人もいるでしょう。

本記事では、土地のみを購入するときの住宅ローンの利用の可否や、借入時の流れについて解説します。

土地のみの購入に住宅ローンは使えない

結論からお伝えすると、土地のみの購入では原則として住宅ローンを組むことはできません。これは住宅ローンがあくまでも、居住する建物を購入または建築するために利用できる融資であり、住宅ローンの担保として設定される建物が存在しない状態だと契約が成立しないためです。

そのため、たとえ将来的にマイホームを建築する予定であっても、建築計画が証明できなければ住宅ローンを組めません。また、建築計画が証明できた場合は、住宅ローンを利用できることもありますが、実際に融資が受けられるのは住居が完成してからです。

土地の購入で活用できる融資

それでは、土地を購入するためのお金はどのように用意すればよいのでしょうか。実は、住宅を立てる予定で土地を購入する場合、「つなぎ融資」や「土地先行融資」が活用できます。

つなぎ融資

つなぎ融資とは、住宅ローンが融資されるまでにかかる費用を一時的に「つなぎ」として借り入れられる融資形態です。住宅ローンの融資が実行された時点でつなぎ融資で借りたお金は返済することになります。

住宅ローンの融資を受けるまでのつなぎとして借り入れるため、基本的に住宅ローンとつなぎ融資は同じ金融機関で申請します。つなぎ融資は無担保で借りられますが、その分金利が2~4%と高めに設定されています。

土地先行融資

土地先行融資とは、住宅を建てる前の土地の購入費用を先に融資してもらえる融資形態です。購入した土地に住宅を建てることを条件に、先行して土地代が融資され、建物の完成後に建築費用の融資が実行されます。

住宅ローンの金利で借り入れができるため、つなぎ融資を利用するよりも低い金利で融資を受けられます。しかし、土地そのものを担保とする必要があり、土地の抵当権登記を行わなければなりません。

土地購入の流れ

・1:不動産会社に買付証明書を提出する
・2:住宅ローンの事前審査を受ける
・3:売買契約を結ぶ
・4:借入の契約を締結する

住宅ローンを利用して、土地の購入・住宅の建築を行う場合の大まかな流れをみていきましょう。

不動産会社に買付証明書を提出する

購入したい土地が見つかったら、不動産会社に買付証明書を提出します。買付証明書とは、土地を購入する意思を書面にしたものです。提出した人には優先的に土地の売買交渉権が与えられます。法的拘束力がある書類ではないため、提出後にキャンセルも可能です。

住宅ローンの事前審査を受ける

続いて、住宅ローンの事前審査(仮審査)を受けます。事前審査を受けることで、融資を受けられる金額を事前に確かめることができます。事前審査では、収入を証明する書類や身分証のほか、建物の間取り図や金額・面積などが分かる資料の提出が必要です。

つなぎ融資や土地先行融資を受けたい場合、住宅ローンの事前審査と同時に申し込みを行います。

売買契約を結ぶ

不動産売買契約とは、取引を行う不動産の金額や支払日、所有権、引き渡し日、瑕疵担保責任など売買の条件や権利の移転について詳細に記載された契約書です。契約前には、宅建業者の宅建士が重要事項について説明を行います。契約内容の説明を受け、問題がなければ契約を交わします。

借入の契約を締結する

金融機関に住宅ローンと、つなぎ融資や土地先行融資の申し込みを行い、正式審査(本審査)を受けて通過すれば契約を締結します。土地先行融資の申し込みの場合は、土地と建物の審査が同時に行われます。

住宅ローンの契約は、正式には「金銭消費貸借契約(金消契約)」と呼びます。金銭消費貸借契約書には、借り入れる金額や返済方法、返済期日、利息、連帯保証人などが記載されます。返済方法や返済期日に誤りがないか、無理なく返せる内容になっているかを確認して契約を交わします。

土地先行融資・つなぎ融資を利用するときの注意点

住宅ローンの融資よりも早く融資を受けられる、便利な土地先行融資やつなぎ融資ですが、把握しておきたい注意点もあるため最後に確認しておきましょう。

土地代の手付金は自己負担

土地を購入する場合、土地の売買契約を結んだ時点で手付金を、土地の引き渡し時点で残金を支払います。建築工事は、契約時点で手付金を、着工した時点で着工金を、上棟時点で中間金を、建物の引き渡しで工事費用の残金を支払います。

土地の購入が決まっていなければ、つなぎ融資や土地先行投資土地も受けられないため、土地の手付金は自己資金で負担しなければなりません。つなぎ融資や土地先行融資を利用する場合、土地代の残金はつなぎ融資や土地先行融資で、建物の工事費用はつなぎ融資で支払います。

建築計画の資料も必要

土地先行融資でもつなぎ融資でも、融資を受けるためには土地と建物の両方の資料が必要です。そのため、建築前に土地のみを購入したい場合でも、土地の購入と建築計画は同時進行で進めなければなりません。

また、つなぎ融資は、住宅ローンの融資が実行されるまで利息を支払わなければなりません。住宅の完成が遅れると、その分高い金利で支払う期間が長くなってしまいます。そのため、土地を購入したらできるだけ早く着工し、建物を完成させられるよう建築計画を十分に練ることが重要です。

土地の購入ではしっかり自己資金を用意しよう!

住宅を立てる予定のある土地購入では、自己資金が少なくても、つなぎ融資や土地先行融資でまかなうことができます。ただし、借入額が大きくなれば、それだけ返済の負担は大きくなります。さらに、自己資金が少ないと、融資を受けられなかったり融資される金額が減ったりと、選択肢の幅も狭まります。

土地の購入や住宅の建築では、できるだけ自己資金を用意したうえで、建築計画や返済計画や想定外の事態が発生したときの対応策をよく検討することが大切です。