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不動産転売に銀行から融資を受けることができるのか?転売は違法?
不動産売買で利益を得る手段として、銀行から融資を受けて不動産を購入できるのか、気になる人もいることでしょう。
一昔前は、転売目的に融資を受けて不動産を購入することができましたが、現在はどうなのでしょうか。本記事では、不動産転売の融資について解説します。
不動産の転売とは?
不動産の転売とは、土地を仕入れ、仕入れた価格よりも高い金額で売却することで儲けを出すことを指します。
土地の価格は高額なので、価値の上昇を予測できれば大きな利益を出すことができます。そのため、1980年代のバブル期には、銀行からお金を借りて購入資金に充て、売却で発生する利益で返済するという転売行為を、短期的に繰り返す「土地転がし」が流行しました。
当時は、土地の価格が急激に上がり続けており、1週間程度で土地の値段が倍ほどに跳ね上がり、大きな利益を得られることから多くの人が不動産投資に手を出していました。
原則として不動産の転売には融資されない
現代では基本的に転売目的の融資は受けられず、たとえ隠して融資を受けてもさまざまなリスクを生むことになります。
不動産の転売自体に違法性はない
土地の転売は、買ったものを売却するという一般的な転売ビジネスと同類であり、禁止もされていなければ転売行為を禁止する法律もありません。もちろん、利益が出た場合は納税の義務が発生しますが、転売自体は合法であり、コンプライアンス的にも問題がない行為です。
転売自体に違法性がないため、銀行が融資することも違法行為には当たりません。
転売目的の融資が行わなくなった背景
それでは、違法性がないにも関わらず、なぜ銀行は融資をしなくなったのでしょうか。
バブル期の土地転がしでは、お金を持っている資産家が土地の価値を上げるための不動産転売を繰り返し行い、実際の土地の価値が上がっていないにもかかわらず、地価がどんどん上がっていきました。異常な地価の吊り上げによって、資産家への利益の一極集中と脱税・汚職が横行するようになり、社会問題まで発展。最終的には、不動産業への融資額が規制されるようになりました。
このような歴史から、銀行が転売目的の不動産購入に融資をすると、地価の吊り上げに加担しているとも考えられます。異常な地価の釣り上げを起こさず、銀行としての信用を落とさないように、土地転がし自体は違法ではないものの銀行が転売目的の不動産の購入に融資することはなくなりました。
転売でなければ融資を受けられる可能性がある
ネガティブなイメージを抱きやすいのは土地の転売、つまり仕入れた土地をそのまま他者に売却する行為です。購入した土地に付加価値を付けて売却すれば、それは土地の転売や土地転がしではなく、土地の開発として認められやすくなります。
たとえば、更地で購入した土地を駐車場にしたり、築年数が古いアパートを解体・リフォームしたりする予定があれば、銀行も融資を検討できることがあります。
不動産の短期売却におけるリスクや注意点|不動産の転売では儲からない?
現在、不動産の転売で儲けを出すのは難しいといわれています。その理由として、ここから解説する短期的に不動産を売買するリスクや注意点が挙げられます。
不動産の転売で稼ごうと考えている人は、参考にしてください。
不動産の短期所有では税金が重くなる
先述の通り、不動産の転売が横行すると、地価の吊り上げや実態のない不動産価格の上昇が発生します。そのため、不動産の短期所有に対しては、通常よりも多く税金が課せられます。
土地の売買で得た利益には、所得税と住民税が課せられます。この所得税と住民税は、不動産の所有期間が5年以下の場合、税率がほぼ倍になるのです。
所得税の場合、不動産の所有期間が5年以上だと譲渡所得にかかる税率は15%ですが、5年以下だと30%が加算されます。住民税も、所有期間が5年以上だと5%ですが、5年以下だと9%です。つまり、短期で転売した場合、利益の4割は税金として差し引かれてしまいます。
不動産の転売で稼ごうと思うと、少なくとも5年は売却せず所有しておく必要があります。
今後融資を受けられなくなる可能性がある
なかには、銀行に隠して、通常通り融資を受け、短期で売却するという手を考える人もいるでしょう。しかし、先にお伝えした通り、信用を重視する銀行は、地上げに加担したというイメージが付くことを嫌います。
借入の際に短期で売却することを伝えず、たとえ融資を受けることができたとしても、不動産を売却してローン残額を一気に返済することになれば不動産の転売行為が疑われる可能性があります。銀行を騙して融資を受けたとみなされた場合、悪くすれば今後融資を受けられなくなることも考えられます。
継続して不動産を売買するのなら宅建業の免許が必要
継続的に不動産の売買・仲介・区分けを行うには、宅地建物取引業免許(宅建業免許)が必要となります。単発または頻繁な取引をしないのであれば、免許は不要ですが、反復して継続的に転売を行う場合、不動産の売買を生業とするビジネスを行っているとみなされます。
宅建業の資格なしに、不動産の売買を行い、無免許営業とみなされた場合、宅建業法に違反し、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
不動産の転売をするなら銀行からの融資以外で資金調達を
かつては融資を使った不動産の転売で、大きな利益を出すことができましたが、現在、銀行は転売目的の場合は融資をしません。不動産の転売で儲けを目指すのであれば、自己資金を貯めるか知人や親族から借り入れるなどその他の方法を検討する必要があります。無理に融資を受けることはリスクもあります。融資を受けたい場合は、単に転売するのではなく、付加価値をつけて流用にしましょう。