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不動産担保ローンの担保にしやすい物件・担保にしにくい物件とは?

不動産担保ローンの担保にしやすい物件・担保にしにくい物件とは?

さまざまな用途で活用できる不動産担保ローン。利用に際しては、「担保に入れたい不動産が担保として認められるのか」が気になることでしょう。

本記事では、不動産担保ローンを組む際に担保にしやすい不動産・担保にしにくい不動産の特徴を解説します。不動産担保ローンの借入を検討している人は、ぜひご一読ください。

【基礎知識】不動産の有担保ローンとは?

そもそも有担保ローンとは、担保となる資産を提供することを借入条件とするローンを指します。たとえば、不動産を担保として借入を行う「住宅ローン」や「不動産担保ローン」です。

住宅ローンと不動産担保ローンの違い

住宅ローンと不動産担保ローンでは、資金の用途や金利が異なります。

住宅ローンでは、借主が居住するための土地・建物の購入や、建物の建築・改築など、借り入れたお金の使い道が限定されています。一方で、不動産担保ローンの場合、借り入れたお金は生活費・子どもの教育費、医療費、納税資金、事業資金など、幅広く利用することができます。

また、住宅ローンの金利は低いところだと0.3%程度です。これは、住宅ローンは用途が限定されており、返済期間を長く設定することから、不動産担保ローンよりも貸し倒れリスクが低いためです。一方で、不動産担保ローンは、資金の用途の自由度が高いことから、無担保ローンに近い扱いで、貸し倒れのリスクが高いことから、2~7%程度の金利が設定されています。

不動産担保ローンの担保にしやすい不動産

それでは、不動産担保ローンを組む際に担保として認められやすいのは、どのような不動産なのでしょうか。

他のローンの担保になっていない自己所有の物件

他のローンの担保になっておらず、自分名義で所有している物件は、不動産担保ローンの担保にしやすい不動産といえます。これは、不動産担保ローンでは、債務者が返済できなくなると、担保となっている不動産を売却したお金で借入残高が弁済されるためです。

しかし、たとえば住宅ローンが残っている場合、住宅ローンを組んでいる金融機関はその不動産の抵当権を有します。そして、抵当権者は、担保になっている不動産を売却した代金から優先的に弁済を受けられる権利を持っています。住宅ローンの金融機関に優先的に弁済されると、不動産担保ローンの金融機関には貸し倒れのリスクが出てくるため、不動産担保ローンを組みにくくなるのです。

他のローンが残った状態で不動産担保ローンを借り入れたい場合、一般的に「1番抵当権(最優先で弁済を受ける権利)を付ける」「連帯保証人を付ける」などの借入条件が付くことになります。

資産価値が高い物件

不動産担保ローンで借り入れられる金額は、担保となる不動産価値の6~8割程度が上限です。そのため、所有している不動産の資産価値が高いほど借り入れしやすく、借り入れられる金額も上がります。

なお、不動産担保ローンの借入希望額が不動産の資産価値を大きく下回る場合、その他の借入で担保となっている物件でも、不動産担保ローンの担保として認められる可能性があります。

ただし、「資産価値が低い不動産は不動産担保ローンの担保にできない」と言い換えられる点に注意が必要です。

不動産担保ローンの担保にしにくい不動産

続いては、不動産担保ローンの担保として認められにくい不動産を具体的にみていきましょう。

管理や建替えが規制される物件

再建築不可物件や市街化調整区域内の物件、農地など管理・建替えが法的に規制される不動産は、不動産担保ローンの担保にならない可能性があります。

たとえば、再建築不可物件は、建築基準法の接道義務を満たしていないことから建替えができません。新しい建物を立てられないため、資産価値が低く、担保として認められにくい不動産です。

市街化調整区域は、商業施設の建築が原則認められていないため、建物が建てにくく、インフラも整っていません。生活しづらく、活用も難しいため、市街化調整区域内の不動産は資産価値が低く、融資が受けにくい傾向があります。

また、農地を転用する場合は、農業委員会の許可が必要となるため、簡単には活用できず、こちらも担保にするのを断られるケースがあります。

売買に関する約束事や特徴がある物件

売買に関する約束事や特約がある不動産も、融資した金額を回収できない可能性があるため担保になりにくい物件といえます。

たとえば、金銭債務を返済できない場合に不動産を売却し弁済する「代物弁済予約」がある場合です。すでに該当の不動産が他の借入の担保となっている状態なので、新たな借入の担保としては認められない可能性が高いでしょう。

そのほか、「買戻特約付きの売買契約」の場合も、担保として認められないことがあります。買戻特約付きの売買契約とは、売主が売買契約を交わしたあとでも契約を解除し、買主から不動産を取り戻せる権利を有する契約を指します。買戻特約が付いていると、売主に不動産の買戻権があるため、不動産を担保にしても弁済に充てられない可能性が出てきます。

不動産担保ローンの借入を検討するときは…

今回は、有担保ローンの担保に向いている不動産について詳しく解説しました。借入条件や審査基準は金融機関によって異なりますが、返済が滞った際に弁済に充てられる価値があり、お金に替えやすい不動産が担保にしやすい物件といえます。

不動産担保ローンは、幅広い用途で使えることから、利用を検討している人も多いでしょう。まずは、所有している物件が担保に向いているのか・向いていないのかを確認してから、借入を検討するとよいでしょう。