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実勢価格とは?公示地価・路線価・固定資産税評価額との違いと調べ方を解説!

実勢価格とは?公示地価・路線価・固定資産税評価額との違いと調べ方を解説!

所有する土地・建物と類似する不動産の「実勢価格」が分かれば、自分の不動産を売却するときの売却価格の目安となります。それでは、実勢価格とはどのような値段であり、どうすれば調べられるのでしょうか。

本記事では、実勢価格の意味や調べ方、混同されやすい用語との違いについて解説します。

実勢価格とは?

実勢価格とは、不動産が市場で実際に取引された金額を指します。例えば、5,000万円で売買された土地・建物の実勢価格は5,000万円です。

ただし、一般的に不動産の取引額は、売主と買主が各々の状況や不動産の特徴、売却時期などをふまえて、交渉・合意した上で決まります。そのため、実勢価格は、売り出し価格や周辺不動産の実勢価格よりも高くなることもあれば、低くなることもあります。

実勢価格の調べ方

実勢価格は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」から検索できます。

1.「不動産情報ライブラリ」にアクセスする

2.「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索・ダウンロード」をクリックする

3.対象不動産の地域・種類・取引時期などを選択して「一覧表示」をクリックする

4.所有する不動産と条件が類似する不動産の情報を確認する

検索結果の画面には、町名や最寄り駅、土地の面積、建物の構造など非常に細かな情報が表示されます。所有する不動産と似た不動産の取引情報が登録されていれば、実際の売却価格に近いであろう実勢価格を知ることができます。

実勢価格と混同されやすい用語との違いと実勢価格の計算方法

続いては、実勢価格と混同されやすい不動産の価値を表す用語の意味を確認しましょう。公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額はいずれも実勢価格とは異なります。

不動産情報ライブラリで所有する動産の取引履歴が見つからなかった場合は、公示地価・基準地価・路線価・固定資産税評価額から実勢価格の目安を計算することも可能です。

公示地価・基準地価との違い

公示地価(=地価公示価格)とは、国土交通省が発表している、全国各所の標準地における土地の価格です。各標準地について、その年の1月1日時点での価格を不動産鑑定士が評価し、毎年3月に発表しています。

基準地価とは、各都道府県が発表している、各所の基準地における土地の価値です。各基準地について、その年の7月1日時点での価格を不動産鑑定士が評価し、毎年9月後半に発表しています。公示地価の約半年後に判定・発表されるため、公示地価を補完する存在とされています。

いずれも行政による評価なので、公平性・妥当性が高く、主に公共事業用の土地の取得や企業間の土地の取引、金融機関の担保評価などに用いられています。ただし、実際に取引された金額ではないため、実勢価格と一致するわけではありません。

公示地価(基準地価)から実勢価格を計算する方法

実勢価格は、公示地価(基準地価)の1.1倍、人気のエリアでは1.5~2倍になるのが一般的です。実勢価格が公示地価(基準地価)の1.1倍だった場合、実勢価格の目安を概算する計算式は下記のようになります。

実勢価格の目安=公示地価(基準地価)×1.1×土地面積(㎡)
 

公示地価(基準地価)は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」から検索できます。

路線価との違い

路線価とは、国税庁が発表している、主要な道路に接する土地の価格です。国税庁が毎年調査・発表しており、相続税や贈与税を計算するのに用いられます。主に税金を計算するための土地の価値であり、実際の取引額である実勢価格とは異なります。

路線価から実勢価格を計算する方法

路線価は、過去の取引などを参考に、おおよそ公示地価の80%を目安に決定されます。よって、路線価を1.25倍すれば、公示地価の水準となります。実勢価格が公示地価の1.1倍だった場合、実勢価格は以下のような式で概算できます。

実勢価格の目安=路線価×1.25×1.1×土地面積(㎡)
 

路線価は、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で調べることができます。

固定資産税評価額との違い

固定資産税評価額とは、固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税の税額を計算する基準となる価格です。土地や建物をどう評価するのかを定めた固定資産税評価基準を元に、各自治体が個別に決定しています。税額を算出するためのものであり、実際の取引額である実勢価格とは異なります。

固定資産税評価額から実勢価格を計算する方法

土地の固定資産税評価額は、公示地価の70%が一般的。つまり、固定資産税評価額を1.43倍すれば、公示地価の水準となります。実勢価格が公示地価の1.1倍だった場合、実勢価格の目安は以下のような式で概算できます。

実勢価格の目安=固定資産税評価額×1.43×1.1×土地面積(㎡)

固定資産税評価額は、自治体から毎年送られてくる固定資産税納付書に同封された「固定資産税課税明細書」に記載されています。

不動産を担保にローンを組みたいときの注意点

不動産を担保にする場合、不動産担保評価額に応じた金額の融資を受けられます。不動産担保評価額は、担保に入れる不動産の時価と担保掛目(不動産価格に対する借入希望額の割合)で計算されますが、一般的に担保掛目の割合は60~80%です。そのため、不動産の時価の60~80%の金額が借入できる上限額ということになります。

ただし、不動産の時価の算定基準や担保掛目は金融機関ごとに異なります。実勢価格がそのまま金融機関によって算定される不動産の時価となるわけではないため注意が必要です。

まとめ

今回は、実勢価格の調べ方や、混同されやすい用語との違いについて解説しました。類似する不動産の実勢価格を知ることで、所有する不動産の売却価格の参考となります。

なお、紹介した実勢価格を調べる方法は、あくまでも目安を把握するためのものです。実際の取引では、売主と買主が交渉する中で、目安とする実勢価格よりも高い金額、または低い金額で契約が成立することがあるという点にはご留意ください。