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不渡り手形とは?不渡りの基礎知識と発生時の影響・対処法

不渡り手形とは?不渡りの基礎知識と発生時の影響・対処法

企業経営において、資金繰りの乱れは信用低下や取引停止といった深刻なリスクを招きます。なかでも、不渡り手形が出ると、取引先や金融機関からの信頼を大きく損ない、場合によっては事業継続が危ぶまれます。不渡りを出さないためには、日頃からの資金管理とともに、万一のときに備えた資金調達手段を確保しておくことが重要です。

本記事では、不渡りと不渡り手形の基礎知識や発生時の影響、不渡りを出さないための対処法について解説します。

不渡り手形とは

そもそも「不渡り」とは、会社が振り出した手形や小切手を約束期日までに現金化できない状態を指します。通常、手形や小切手は期日になると、支払人の口座から銀行を通じ、受取人の口座に入金されます。しかし、何らかの理由で受取人の口座に支払いができないと、銀行が「不渡り」として処理します。

「不渡り手形」とは、約束手形の支払い期日に指定金額が支払われず、金融機関が決済不能と判断した手形を指します。約束手形は、企業間取引での代金の支払い方法の一種で、発行日から一定期間後に指定された金額を支払うことを約束した証書です。

約束した期日に代金が支払われなければ、取引先や金融機関との関係はもちろん、事業継続に深刻な影響を与えます。そのため、不渡りを出さないよう早期に対応することが重要です。

不渡りが起きたらどうなる?

不渡りが発生すると、最初に影響を受けるのは取引先です。代金が支払われないことで連鎖的に資金繰りが悪化し、信用不安が広がるだけでなく、経営に影響するところも出てくるでしょう。

また、金融機関にも通知が届き、企業の口座は取引停止処分となる可能性があります。6ヶ月以内に2回目の不渡りを出すと、「銀行取引停止処分」となり、当座預金の口座が使用できなくなります。口座がなければ資金調達もできないため、事実上の倒産状態に陥ります。

不渡りが起きると、金融機関は手形交換所に「不渡届(不渡届出書)」を提出することとなります。

不渡りの種類

不渡りには、下記の3種類があります。

・0号不渡り:手続き上の不備やミスによって支払いできないケース
・1号不渡り:当座預金の残高不足で支払いが行えない不渡り
・2号不渡り:0号・1号以外の盗難や偽造、詐欺による不渡り

1つずつ詳細を確認していきましょう。

0号不渡り

0号不渡りは、金融機関が手形を決済できないと判断しても、正式な不渡り処分とはならないケースです。具体的には、手形の記載不備や金額の誤り、印鑑の相違など、形式的な不備やミスによって支払いができない場合が該当します。不渡りとして扱われないので、不渡届も作成・提出されません。

資金不足による決済不能ではないため、信用への影響は比較的小さいですが、繰り返すと取引先からの信頼を損なう原因となります。

1号不渡り

1号不渡りは、資金不足や口座の解約により、期日に手形の支払いができなかったケースで、一般的な不渡り状態です。具体的には、「支払い口座に約束手形の決済に必要な金額の資金がない」または、「銀行との取引を既に解約しており、支払い口座が存在していない」など。

1号不渡りを出したからといって、即座に銀行取引停止にはなりませんが、6ヶ月以内に再度不渡りを出すと銀行取引ができなくなります。

2号不渡り

2号不渡りは、0号と1号以外の理由で支払いができないケースを指します。典型例として、約束手形の偽造・変造・詐取・盗難・紛失や、手形を発行した契約の債務不履行などが挙げられます。

2号不渡りの場合、不渡届は作成されるものの、「異議申立て」を行うことが可能で、認められれば信用への影響は限定的です。しかし、異議申し立てを行わない・異議が認められない場合は、1号と同様の扱いとなることがあります。

不渡りが出そうなときの回避方法

不渡りを出してしまった場合、できることは限られています。

・手形の更改
・過振り
・売掛金の資金化

状況によって選択できないものもあるため、あらかじめ万が一に備えてどのように対処すべきか確認しておくことが重要です。

手形の変更

手形の更改は、支払期日の延期や金額の調整を行う方法で、手形の「ジャンプ」とも呼ばれます。取引先の同意が得られれば、既存の手形を破棄して新たな条件の手形を発行し直すことで、期日までの決済が難しい場合でも金融機関に支払いが難しいことを知られずに済みます。

ただし、更改はあくまで一時的な延命措置であり、資金不足の場合は支払期日が延長されても、再び支払い遅延が発生する恐れがあります。また、取引先からの信用を失うリスクが高く、経緯や今後の支払い計画を具体的に説明し、納得してもらわなければなりません。もちろん、交渉しても断られることもあるでしょう。

過振り

過振りとは、金融機関が一時的に不足額を立て替えて手形の決済を行うことです。相手方への支払いは行われるため、不渡りの記録を残さず支払いを完了させることができます。

ただし、過振りは銀行との信頼関係や過去の取引実績が前提であり、信用度が高い企業でなければ利用できません。立て替えられた資金は短期間での返済が求められ、遅延するとさらなる信用損失を招きます。

過振りを利用できる場合でも、資金不足の根本的な解決にはつながらないため、金融機関への返済と、長期的な資金繰り改善を同時に講じる必要があります。

売掛金の資金化

売掛金の資金化は、取引先に対して請求済みで未回収の代金を現金化し、支払い資金を確保する方法です。「ファクタリング」とも呼ばれます。具体的には、入金予定の売掛債権を第三者に譲渡することで、早期に現金を受け取ることができます。

急な資金不足や不渡りリスクを回避できますが、売掛債権の売却では手数料が発生するため、実際に受け取れる額は売掛金の満額よりも少なくなります。また、取引先への通知が必要な場合もあり、相手方との関係に配慮する必要があります。

それでも、審査期間が短く即日入金も可能なケースが多いため、緊急時の資金調達手段としては有効です。

2026年に約束手形の廃止が予定されている

近年、企業間取引の効率化や不渡りリスク低減を目的として、約束手形の廃止が進められています。経済産業省は、2026年までに企業間での約束手形利用を廃止し、電子記録債権や振込決済への移行を促進しています。

現在、紙の手形だと、現金化するまで平均100日はかかります。紙の手形を廃止することで、紙の手形特有の決済遅延や不渡りによる取引停止リスクを減らすことが期待されています。事業者は、今後の制度変更に備えて、代替決済手段の導入や経理体制見直しを行わなければなりません。

不動産担保ローンで不渡り手形に対処することも可能

不渡り手形が出てしまうと、企業の信用と資金繰りに深刻な影響を与えるため、発生前の予防と迅速な対応が重要です。

資金繰りの問題に直面した場合のもう1つの選択肢に、「不動産担保ローン」の活用が挙げられます。不動産担保ローンとは、自社または経営者個人が所有する不動産を担保に入れ、金融機関から融資を受ける方法です。担保を提供することで、融資を受けやすいだけでなく、無担保ローンよりも高額な借入が可能になります。

用途の自由度が高いため、短期間でまとまった資金が必要な場合や、他の融資手段では借入枠が限られる場合に有効です。また、返済期間を長めに設定できるため、毎月の返済負担を軽減しながら計画的に資金繰りを改善できます。

不渡り発生を防ぐためにも、早期に新たな資金調達手段を検討することが、経営の安定化につながります。

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